雪ウサギの目* 南天 vol.248
東京の冬は昔はずっと寒かった気がする
朝起きるとキ〜ンとする寒さが冬中続いていた
雪の降る日は格別に冷え込んだ
朝起きて積もった雪を見てなぜあんなに嬉しかったのか
今ではあの気持ちが懐かしくもあり羨ましい
庭に飛び出して姉妹で雪合戦をして
部屋に戻ると親たちは火鉢を囲み
「子どもは元気だねぇ」と言いながら
雪で濡れた手袋を乾かしてくれた
雪の日の〆のイベントは「雪うさぎ」を作ること
手のひらでこんもりとした山を作り硬く固めて
仕上げの目はいつも赤く光る南天の実だった
耳には南天の葉を2枚並べて出来上がり
融けてなくなってしまうのがかわいそうで
冷凍庫などはなかった時代、製氷室に親に頼んで入れてもらった
覗くたびに小さくなって消えてなくなる頃には春が来ていた
田舎の一軒家さんのお庭の南天、赤がとっても元気です。
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